以前ブログで取り上げた「一級建築士制度を考える」の連載で、一部説明不足があったので取り上げたいと思います。建築基準法についてです。
「これは法律だから・・・」、と言われると妙に説得力がありますよね。
良いアイデアが浮かんで、やってみよう!と思ったときに「いや、法律に違反するから無理」と言われれば無条件に断念するでしょうし、この企画ちょっとやばいんじゃない?なんて思っても「法律には触れないから平気だよ」と言われれば、やってみるか!となることもあるかと思います。
法律は社会を構成する基本的なルールです。法律の内容の半分くらいは常識的に判断できることもあります。
ですが、ルールを知らないと、悪気はないのに思わぬところに落とし穴があったり、逆にルールに精通していると人の行かない裏道をも迷わずに真直ぐ歩けてしまったりします。。
つまり、法律は勉強しないと損をするわけです(元ライブドア社長が外国人記者クラブで言っていたことと、通じるものがあると思います)。
どんな法律でもよいのですが、法文自体を実際に読んだことがある方はどのくらいいるでしょうか?
わたしが建築基準法を読んだ感想ですが、「まどろっこしくて、分かり難くて、日本語とは思えない」でした。。
省略や、二重否定(肯定)や、告示、条例との関係性、、とにかく読みずらいんです。。
一級建築士試験では、法規の試験は法令集持込が許されてますので、高得点ができる科目なのですが、だからと言って、一級建築士は法律に明るいかと言うとそうでもない人が大多数だと思います。
なぜか?
それは、建築の実務と現実にはかなりのギャップがあるからです。
法律には、矛盾や非効率が多く、いわゆる「キレイゴト」である場合が少なくないんです。。
特に、現在の商業主義的な建築業界では「キレイゴト」を守って効率を落とすようなことは実際問題として行われません。
時は金なりなのです。
建築基準法と言っても様々な分野を網羅しているので多岐にわたりますが、ここでは昨今問題となった「構造」の分野について取り上げます。
みなさんは、自分の住んでいる建物が「建築基準法を満足している」と専門家から言われたらきっと安心されることでしょう。「これで、地震がきても一安心だなぁ・・・」とほっとされるでしょう。下手をすると、専門家が太鼓判を押したことで、万が一のときの対策を怠ってしまう人もいそうな気がします。
結論から言うと、建築基準法は「建物の安全性を保障する」ものではありません!
これを聞いて「えっ?」と思う方が多いのではないかなと思います。不安を煽る訳ではありませんが、そうなのです。
簡単な例で言うと、
「建築基準法を満足する建物」は、
震度6強の地震に対して建物が崩壊するまでに人命を守ることを最低限の基準としています。つまり、建物は崩壊する危険性があるわけです。幸い崩壊しなかったとしても地震の後にその建物を継続して使用することは難しいでしょう。余震等での崩壊の危険性があるからです。
上記は、正確に言うと「建築基準法をギリギリ満足する建物」の場合ですが、大抵の建物は経済設計を求められるので、ギリギリ設計の建物は世の中に意外と多いと思われます。
これを見て、みなさんはどう思いますか?
幸いながら命が助かったとしても、命の次に大事なくらいの財産である建物は失う可能性はあるのです。
耐震偽装事件で、1.0に対して0.5だとか0.75だとか、いう数字が登場したのは記憶に新しいと思います。この数字が「1.0」のときまさに「建築基準法をぎりぎり満足する建物」となるわけです。なので、「1.0」だったからといって建物の安全性が保障されるわけではありません。
(構造の専門家の立場から言うと、この1.0とか0.5とかいう数字の論議は実は、極めて難しい要素を含んでいます。構造計算は誰がやっても同じ答えになるものではありません。また、計算プログラム自体が決して万能ではないというのが実情です。設計者によっては、プログラムの使用を嫌って独自の理論で計算を行う人もいます。これは、本当に難しいことなのでまた今度ブログで取り上げます。)
これを見て、「地震の後に建物が使えなくなったら困る!」と思った方は、現在住んでいる家、建物、もしくはこれから新築しようとしている建物について考え方を変える必要がありそうです。
この法律の解釈を難しくしている要素の一つに、「確率論における地震」の存在があります。
50年に一回くるか、こないか、それとも100年に一回なのか・・・考えるときりがありません。
そんなこと考える余裕があったら、目先の工事金額を節約したほうが良いという考えもあるでしょう。わたしは、それは個人の自由で否定はしません。ただ、専門家である私たちはあらゆる可能性を視野にいれてクライアントに接する必要があると思っています。法律を満足するのなら、万能であると考えるクライアントも少なくないと思います。
書きながら、この問題もいろいろと思うところもあり長くなりそうです。。
連載はいまはしんどいので・・(前は仕事お休みしてたので・・)、またの機会に取り上げたいなと思います。
結論は、
・建築基準法は万能ではない
・法律は勉強しないと損をする
ということです。
わたしもまだまだ勉強中の身ですが、このことは継続して勉強していきます。




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