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地震の新しい評価方法

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今週の日経アーキテクチャーに地震の新しい評価方法の特集がされていました。
「建物に伝わるエネルギーは阪神大震災の何回分か」という記事です。

以前、地震の震度についてブログで簡単に書きましたが、
地震に関しては、わたしが大学院で研究していた制振構造と密接な関係がありまして、
ちょっとばかりうるさいです(笑)。

今回の記事を簡単かつ大胆に言うと、

「震度とか、マグニチュードとかだと分かりにくいから、阪神大震災のときの地震を
基準にして、阪神大震災の地震を何回分っていう言い方にすると分かりやすいでしょ?」

というものです。。

なので、
阪神大震災より小さければ、
たとえば、阪神大震災0.7回分。
阪神大震災より大きければ、
たとえば、阪神大震災2.2回分などとなります。

たしかに、分かりやすく良いと思いますね。

以前のブログでも書きましたが、
地震の強さというのは、評価が難しいです。

たとえば、強さというのも
「ドーンッ!!」という瞬間的な強さと、
「ユッサユッサ・・・」という継続的な強さとは違いますよね。

強さは工学的に曖昧な表現なので、エネルギーという単位で
考えるといろいろと分かりやすくなります。

エネルギーは人でいうとカロリーと同じようなものですので、
イメージはしやすいと思います。

エネルギー = 力×距離
が基本です。

重たいモノを持って、長時間歩くと疲れます。
エネルギー(カロリー)を消費するわけです。

しかし、

重たいものを思いっきりパンチしてみると、
ちょっと動くかもしれませんが、ほとんど動きません。

これはエネルギーをほとんど消費していないことになります。

つまり、
地震については、言葉のイメージに反して
「ドーンッ!!」は、エネルギーとしては小さい。
「ユッサユッサ・・・」は、エネルギーとしては大きい。

ということがあるのです。

阪神大震災はいわゆる直下型地震でしたので、「ドーンッ!!」型です。

なので、観測された加速度(820ガル)のわりにエネルギーは大きくない地震でした。

つまり、
今回の新しい阪神大震災の何回分かで評価する方法で誤解してはいけないのは、
その地震の被害や規模から推測してはいけないということです。

わたしは、専門なので分かりますが、これは世間に誤解を招く恐れがありそうだな、、
と思い朝からブログを書いている次第です。。

これ以降は、ちょっと専門的なこと書きますので、
興味ない方はホームページをご覧ください(笑)。

・・・

ここまでだと、まだちょっと矛盾がある部分もあります。
ここで、以前ブログでは割愛した「固有周期」という考え方について書きます。

人は、気の合う人、合わない人ってありますよね。
わたしは、これも人の「固有周期」だと思っています。

気の合う人といっしょにいると、気持ちが良く、自分の能力以上のことができてしまったりします。
一方、気の合わない人といっしょにいると、気分が悪く、自分の能力を発揮できなかったりします。

なので、人の心は、「波」のようなものなのだと思います。
同じ振幅の波がきて、合わされば増幅しますし、

np1.jpg

同じ振幅でも位相の違う波と合わされば打ち消されます。

np2.jpg

ただ、
人の心はこんなに単純ではありません。
人の性格にはいろいろな要素が含まれていてそれが複雑に絡まりあったものだと思います。
↓こんなイメージです。

np3.jpg


この図を一度は見たことがあるのではないでしょうか?
・・・

そうです、地震の波形もこのような形になります。

つまり、地震とは様々な特性が複雑に混ざった波です。
混ざっていながらも、必ず特性の強い部分があります。
それを、「固有周期」などと呼んでいます。

これは、人でも同様ですよね。
「あの人、仕事では厳しいけど、普段は温厚で基本的にやさしい人だよねー」
なんて、言いますよね。
つまり、この人は「基本的に優しい特徴を多くもった人」という「固有周期」を持っているということです。

地震にも人にも固有周期があればもちろん、建物にも固有周期があります。

地震の場合、人とは異なり固有周期の合う建物を助けてはくれません。。
逆に猛烈に攻撃する特性があります。

地震の固有周期と建物の固有周期が合致してしまうと振動が増幅されて、
建物が想定していた以上の外力を受けて崩壊に至ることがあります。

得に、阪神大震災の固有周期が阪神淡路地区にある商業ビルや、高架道路などの
固有周期と合致してしまったので、見た目でも大きな被害を与えた印象があります。

どのような地震が今後くるのかは誰も分かりません。。
しかし、昔々とても頭の良かったフーリエという人が、複雑な波の特性を計算する方法を
見つけました(フーリエは、ナポレオンに従軍もしていた、数学・物理学者です)。
複雑な波のデータをフーリエ変換という計算をすると固有周期が分かるのです。
(ちなみに、MP3データ圧縮方法でフーリエ変換の技術が内部で使われているのは
有名な話です。)
なので、過去の巨大地震特性からどのような固有周期を持つ建物だと、危険なのか?
という解析が日々研究されているのです。

現在は、コンピューターシュミレーションで固有周期のない(どんな建物にも強力に作用する)
模擬地震波のデータを作成して、ある一定規模以上の建物の場合は、その地震波データをもとに
特殊な構造解析を行うことが義務付けられています(これを、時刻歴応答解析と言います)。

地震から、固有周期、現在の構造解析方法とまでざっと説明できました(汗)。。

最後に、
日経アーキテクチャーの記事の最後のほうで書かれている論文のタイトルについて、
懐かしいのでちょっと書きます。

秋山教授と北村教授(ご両名ともわたしの研究テーマの参考文献などにも度々登場する
すごい方です)が、今回発表した論文「エネルギースペクトルと速度応答スペクトルの対比」
というのは、
地震波をフーリエ変換したときに得られる固有周期帯(フーリエスペクトル)と、
その地震による応答値帯である速度応答スペクトルが一致する傾向があるという事実に
基づいて書かれているものだと思います。

また、地震のエネルギー(被害状況と比例傾向がある)は、地震の応答速度スペクトルから
推測が可能であるという秋山教授の理論から、いろいろとケーススタディされたものだと思います。

昨年、構造計算方法に「エネルギー法」という新たな計算法も加わりましたので、
わたしとしては、これまで説明しにくかった問題もこれでだいぶ説明できるのではないか?
と期待しています。

たまには、専門的なことも書いて頭が昼寝しっぱなしにならないようにしたいと思います(笑)。


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