またまた、以前連載した「一級建築士制度を考える」の不足していたことについて書きます。
世間でも話題?の確認申請についてです。
このあいだ、イーホームズ藤田社長の爆弾発言が話題になりまして、当サイトでもソース元のブログを
リンクしました。かなり、きわどい内容のものでした(興味のある方は、こちらから。)
内容の真偽は、未だ断定できるものではありませんが、マスコミの大半が黙殺しているところから考えると、個人的にはマスコミ側の情報操作がありそうな気がします。
(殺人事件をドラマティックに演出している時間があれば、藤田発言をもっと調べたほうが視聴率も取れるはずですしね)
さて、それは置いておいて、
今回の問題の発端である、「確認申請」について考えてみたいと思います。
わたしが、構造設計を始めて行ったのは6年前で、当時は民間が確認申請を行うことはほとんどありませんでした。建物を建てる場所の管轄のお役所の仕事でした。
当時は、
「世田谷区のあの構造担当はうるさいから、気をつけろ」、とか
「渋谷区は楽勝だよ」、とか
「群馬の構造担当は素人並みだったよ」、とかとか
その場所によって、いろいろと情報を集めたものです。
誤解を招くといけないので、断りますが、、
これは構造設計者が誠意をもって設計を行った仕事を前提にしています。
いわゆる、「性善説」です。
なぜ、こんな情報を集めるかというと、
やはり、設計者にとって確認申請というのは手間のかかる書類作りが多いので、
できるだけ迅速に行いたいものなのです。
設計に自信のある人ならば、それは尚更でしょう。
「なんで、おれの設計を役所の素人にケチつけられなきゃいけないんだ!!」
などと、
役所の窓口で、口喧嘩をしている設計者を見たことは一度や二度ではありません。。
確認申請は法律上必要なのですが、設計というのは確認申請書類で全てが分かるほど単純ではありません。どちらかというと、確認申請は「形式的」な書類なのです。
わたしも、確認申請書類を作るのは嫌いです。。
「構造的に成立している建物なのに、わざわざなんで計算書なんか作らないといけないんだよ。。」
・・・
目が回るほど忙しいと、いつもこんなふうにぼやいていました。。
つまり、一般的には、
設計者にとって、確認申請というものは重要なものではないのです。
なので、業界の慣習として、、
「とりあえず、確認だけとっちゃえよ。」
・・・
みたいな事が言われたりします。
これは、どういうことかと言うと、
確認申請の審査をパスすれば、法律上、建物の建設を着工することができます。
つまり、
早く着工することで、一番大事な作る過程に時間をかけることができるわけです。
ゼネコンやデベロッパーにしてみれば、着工を早くすればするほど工期短縮、早期販売とメリットしかないということになります。
この元請けがメリットを享受するためには、下請けの尻を叩いて早く確認申請許可証を取る必要がありますので、このような事でも元請けによる下請けに対するプレッシャーはあるんです。。
この点については、また今後取り上げていきます。
さて、
早く確認申請許可を取りたくても、審査担当者の裁量次第では、時間がかかることも当然あります。
わたしの経験上ですが、、
役所の構造担当者については、構造のことについて精通している担当者は1割程度でした。
大半は、構造に詳しくない方が多いです。
それどころか、、
地方に行くと、
「わたしは、今年から構造審査科に配属されたので、全く分からないんです。。」
・・・
は?
・・・
といったことも多々ありました。
逆に、こちらから計算の意味を教えてあげたりしました(笑)。
これは、紛れも無い事実です。
ただ、わたしたちにしてみれば、これは当然のことだと思います。
役所の方の大半は、設計業務はしないので、無理もありません。
公務員試験に合格して、確認審査科に配属されて、「はい、あなたは構造担当ね」って感じでしょうからね。
役所で審査だけをして、構造が理解できるほど、構造設計という仕事は甘くありません。
「性善説」に従えば、教科書通りの構造に詳しい役所の担当は、逆に迷惑なんです。
設計というものは、教科書通りにはいかないものだからです。
わたしも若い頃は、融通の利かない担当者と口喧嘩をしたこともあります(笑)。
以前、建築基準法について書きましたが、法律自体が万全ではない状態なのに、
その法律に対して「法の番人」として、役所の方が頑張ってしまうと、良い建物は作れないんです。
これは、結構重要な問題なんです。
確認申請業務が役所だけだと、人材が限られるのと時間がかかることから、民間へ確認申請業務を開放するという建築基準法改正が行われました。
わたしが、実務を始めて2年目には民間の確認申請機関の名前が次々とでてきましたので、2003年頃からは、確認申請は役所から民間へ普及しはじめた頃だったと記憶してます。
日本ERI
イーホームズ
ユーイック
ビューロベリタスジャパン
TBTC
・・・
いろいろな民間審査機関が登場しました。
当初から、私たち設計者にとって、民間の確認審査機関はとても好評でした。
・審査が早い(5時で仕事が終わらないなど・・)
・融通が利く
などが主な理由です。
書類訂正をFAXやメールで受け付けてくれたりもして、とても便利になりました。
そのうちに、、
建主(デベロッパー含む)から、確認審査機関を指定してくることが増えてきました。
今思えば、確認審査機関の設立に出資している関係があったのでしょう。
民間の確認審査機関の会社の打ち合わせブースは、いつも大盛況で、要予約でないと受け付けてもらえませんでした。
そうこうしているうちに、雑誌広告での露出や、上場する会社が現われたりしたので、
「確認申請って、儲かるんだなぁ・・・」
なんて思いました。
ここまで読んで状況は推測できるかと思いますが、
民間の確認審査機関は、大繁盛、大忙しだったと思います。
なので、時間が経つにつれて、
「確認申請を審査するためのマニュアル」のようなものができて、
比較的知識のない人にも、審査をさせざるを得ない状況になっていたと思います。
その証拠に、
わたしが、当時提出していた確認申請書類に計算ミスを自分で見つけたので、
書類を差し替えようと担当者に電話をしたところ、開口一番に
「あっ、あの物件の構造審査はもう終わって、もう消防に回してますから・・・」
と言われました。。
まぁ、自分で計算したから気づいた程度のミスなので、
審査する側からしたら、分かるわけはないだろうとは思いながらも、
「??」と思ったのは記憶にあります。
(ちなみに、計算書にミスがあっても、施工段階でちゃんと修正すれば当然ながら問題ありません)
「性善説」によれば、施工で修正すれば大丈夫なのですが、
「性悪説」によれば、ばれなきゃ大丈夫となってしまうので、
構造計算を偽造するという行為の下地は、たしかに存在していたと思います。
わたしには、怖くて考えられませんが。。
その後、昨年の11月に「耐震偽装事件」として、確認申請は世の中にクローズアップされることになりました。
ここまで読んで頂ければ、民間の確認審査機関だけが、責められるような問題ではないことが当然ながらご理解いただけると思います。
建築業界の全体的な歪みが産み出した問題に他ならないのです。。
この点を間違えずに、議論をしてもらいたいと思います。
政治家の先生方も、この問題を党同士の喧嘩のネタにだけするのは是非是非止めて頂きたい!!と懇願致します。。
イーホームズ藤田社長は、
ある部分では、被害者であると思います。
ですが、
ある部分では、キャパオーバーとなった業務を止められなかったことに対する責任があります。
法改正が産んだ「民間確認申請バブル」の渦に巻き込まれてしまったのかもしれません。。
気づいたら長くなってました。。
以上です。




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