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設計者とクライアントの関係・・・マンション編その2

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ここからが、ようやく本題です。

不動産会社(デベロッパー)は、建設業界の最も川上に位置する業界です。

上場企業も多いですし、テレビで不動産会社のCMを見ない日はないくらいでしょう。

駅前には、不動産(仲介)業者が数多く店舗を連ねていますよね。

あれだけ競争が激しくても、賃料の高いテナントを借りても、経営が成立しているのです。

不動産関連業務とは、”そういうこと”が成り立つビジネスなのです。。

マンションの計画には、
立案、企画、設計、建設、販売、保守などいろいろあります。

ケースによって違いますが、
設計者は企画・設計に携わることが多いです。

有名な不動産会社では設計部を持っている会社も多いはずですが、
マンションの設計に関しては外注するケースが多いと思います。

優れた設計者に任せたほうが、よいプランができるという面もあると思いますが、

基本的に、安いから外注しているという面がかなりあると思われます。

・・・

マンションの設計料の相場は、オフィスビルや住宅などと比較すると破格に安いです。

建設費の2〜3%程度が設計料となることが多いです。
(オフィスビルは5〜6%、住宅は10%程度が多いでしょう)

同じようなプランの階が積み重なっていくことが多いので、
このような設計料になるのかもしれませんが、最近は各住戸で
プランの異なるようなデザイナーズマンション系のものでも設計料の相場は同じです。

外注したほうが、設計変更などに対して「元請けと下請けの力関係」を発揮できるのも
かなりのメリットになるはずです。

マンションで設計変更料をすべて請求できれば決して安い仕事にはならないのです。

・・・

デベロッパー:「このタイプのプランの人気がないから、変更します。」

設計者:「え?もう、確認申請提出してますが・・・。」

デベロッパー:「変更申請で対応してください。」

設計者:「・・・はあ。。」

デベロッパー:「このプランの開口部を大きくして、キッチンをこっちに動かして・・・」

設計者:「え?ここ耐震壁なので開口を大きくすると構造に影響します。」

デベロッパー:「しょうがないので、なんとかしてください。」

設計者:「・・・構造に相談してみないとどのくらい時間がかかるか分かりません。」

デベロッパー:「着工日は変えられませんからね。」

設計者:「・・・そんなぁ。。。」

これは、設計者とデベロッパーとのある会話の一部抜粋です。

似たような会話をしたことある設計者は、世の中に何人いるでしょう??(苦笑)

もちろん、
この変更に対して、変更設計料が支払われることはわたしの経験上ほとんどありません。

ちなみに、構造設計料は設計料の10〜15%程度が相場です。

構造設計の場合は、プランが同じであれば設計が簡単になるということはありません。

逆に、階数が高くなればなるほど構造計算の難易度が上がるので、
最近の高層化されているマンションの状況から考えると、設計料の相場は技術内容と
反比例して安くなっているものと思われます。

以前ブログでも書きましたが、

特に構造設計については、制度などで、工事金額に対するパーセンテージで最低報酬額を
定めてないと、設計料が安くなれば構造設計料も安くなるという矛盾がでてきます。

耐震偽装で一躍有名になったA氏は、年収が2000万円だったと報道されていました。

年収2000万円という数字は確かにすごい金額ですが、ちょっと考えてください。

年間100棟近い物件を設計していた人です(偽造していましたが)。

しかも、ほとんどの物件が10階建てクラスの中層物件です。

一人で構造設計しているとしたら、一般的には年間5〜10棟がいいところです。

つまり、A氏は通常の10倍以上の物件をこなしていたわけです。

それで、年収2000万円ならば、逆に2000万円”しか”稼いでいないのです。

一般程度に年間10棟構造設計していたら、簡単にいえば年収200万円未満です。

一棟あたり20万円の構造設計料では、普通はマンションの基礎だけしか設計できません。。

その構造設計料が安すぎるということに疑問を持たない、ゼネコンや不動産会社も異常です。

いかに、構造設計という職業が「ブラックボックス」化されていて、
軽視されてきたのかということが理解して頂けるのではないでしょうか?

2000?程度のマンションだと、構造設計料は150万円くらいが現在の相場です。

150万円だと、ちょっとしたホームページ制作費のほうがよっぽど高いです。
(現在のホームページ制作費は高すぎると思ってますが・・・)

ホームページの制作ミスで人命は失われませんが、
構造設計に致命的なミスがあれば、
2000?のマンションで毎日生活している50〜80人もの人命を脅かすことになるのです。

・・・

技術料というものは、視覚的に分かるか、分からないかというだけで、
こんなにも差がつくものか・・・と実感してます。。

・・・

マンションの設計料がいつからこんなに安くなったのでしょう?

それは、やはりバブル崩壊後の長引いた大不況の頃からだと思います。

仕事がないから、安くても仕事を請けざるを得ない状況が長く続いた結果だと思います。

不動産会社のような川上企業は、現在の景気回復の恩恵を受けている企業の一つです。

それでも、設計料はまだ回復していません。

これは、建築業界に関わらずすべての業界について言えることです。

現在の大手企業の業績回復は、人件費削減、下請け叩きの元に成立していることは、
疑うことのない事実です。

いわゆる、「格差社会」というやつです。

バブル崩壊

不動産価格の下落

不動産の不良債権化

不動産所有企業(銀行含む)が痛手

国が税金を投入して銀行を保護

銀行が大手企業の債権放棄

大手企業が最悪期脱出

大手企業がリストラ等で人件費削減

大手企業が業績回復

好景気・・・

こんな流れの好景気で、中小企業や、個人が恩恵を受けるわけがありません。

それどころか、税金という形でいつも損をし続けてきているのです。

ちょっと、脱線しました。。

マンションの場合、

設計者にとってのクライアントはデベロッパーですが、
デベロッパーにとってのクライアントは購入者です。

デベロッパーにも設計に対する知識はかなりありますが、
実際に設計をした設計者には、当然ながら劣ります。

購入者の要望をすべて聞き入れてしまうと、
大変な設計変更になることも稀にあるのです。

購入者がデベロッパーに要望

デベロッパーが設計者に購入者の意向を要望

設計者が変更作業

最悪、
大変な設計変更があっても良しとしましょう。

設計には、変更がつきものです。

ですが、その変更が無償であってはいけません。

たとえば飲食店で、、

客:「注文したA定食、ちょっと食べたら美味しくなかったからこっちのB定食に変えて。」

店員:「はい、構いません。」

・・・お会計

店員「A定食とB定食で合計1500円です。」

客:「は?A定食は美味しくなかったから、B定食分しか払わないよ。」

店員「それでは、困ります!」

・・・

こんなことがまかり通れば、飲食店はすべてつぶれます。。

現在の建築業界は、上記したようなことがまかり通ってしまっている部分が多々あります。

・・・

建築というものは、一度作れば短くても30年は使うことを想定します。

30年以上も使う建物なのに、作るときのスピードが早すぎます。

作るときの採算性に重点を置きすぎています。

不動産会社(デベロッパー)にとってみれば、
初期段階での出費を最大限引き出すことが勝負なのです。

実際は、長いスパンで見ればかなり利益率の高いビジネスモデルなのですが、

それに気づかない購入者が多すぎるのも問題だと思います。

一生に一度の買い物なのですから、

購入者がもっと勉強をしなければならないと思います。

大人になって、結婚して、子供ができて、さて家を買うかな・・・

それから考えるのでは、時間がなく遅すぎます。

「住」の教育を、小学校、中学校くらいから行う必要があると、個人的には思っています。



きりがないので、、とりあえず以上です。

もっといろいろと書きたいことはあるので、またの機会に書いていきます。

次回は、クライアントが法人(企業など)の場合です。

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